中国茶的日々

2005年に上海田子坊で中国茶の店『臻茶林』を始める。北京南鑼鼓巷、浙江省烏鎮、江蘇省天目湖に支店。

六、四国遍路の旅(4)車中

あの山奥に鉄道を敷設した南海電鉄に改めて敬服した。

山奥の奥の奥の・・・そのまた奥の高野山。

電車がギシギシきしみながら、曲がりくねった道を登って逝く。

 

いくつものトンネル、トンネルを抜けると、数十メートルの谷に橋が架かっていて、その橋の終点にはまたトンネルがある。

そこも抜けると、崖に沿って走り、崖の途中に駅がある。

民家は・・・何と、百メートル近く崖下の谷間に集落がある。

最終駅“極楽橋”には民家は見えない。

 

なぜ、ここまでしか行かないのか。

勾配30度以上あろうかというケーブルカーが待っている。

スキーでは滑れそうにない。

 

本当にこんな山中に寺があるのか。

 

驚き通しである。

 

途中から乗ってきたご夫人が、網棚の上に箱をあげた。

遠くから見たところ、『ミスタードーナツ』かなにかの箱だ。

しばらく気にも留めなかったが、かなり奥の小さな駅で買い物の荷物とその箱を持って降りた。

 

なるほど、あれは子供たちへの街の香りのお土産だったのか。

 

田舎の子供には、ケンタッキーとかドーナツとか、ああいった類いのものは特別の思い入れがある。

僕も小さい頃、札幌へ行ったら一度は必ずケンタッキーに連れて行ってもらい、街の味を味わって満足したものだ。

きっとみんな大喜びだ。

子供たちの顔が目に浮かぶ。

 

高野山は金剛峰寺の『奥の院』に弘法大師は鎮座まします。

四国札所八十八カ所は、大師の足跡を印したところだ。

順番に寺を回り、お経を上げ、お札をおさめて、帳面に納経していただく。

 

僕も出発点を和歌山の高野山とする。

『同行二人』の旅といわれるが、それは自分とお大師様と、二人で歩く意である。

まずお大師様にお会いするため、奥の院参拝から始める。

そこから一緒に歩いてくださるのである。

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