中国茶的日々

2005年に上海田子坊で中国茶の店『臻茶林』を始める。北京南鑼鼓巷、浙江省烏鎮、江蘇省天目湖に支店。

六、四国遍路の旅(6)高野山 その二

全く想像もつかないお返事だった。

 

なるほど、仕事をさせていただくということは、こちらのわがままなのか・・・

先ほどの納経所の方にご挨拶して帰ろう。

 

「仕事ありませんでした。」

 

「そうか。兄ちゃん、ちょっと待ちなさい。」

 

その方はそう言って奥に入り、すぐに裏木戸の方から出て来て僕を手招きしていらっしゃる。

 

「これはお接待やから貰っておきなさい。」

 

なんと!

 

驚いたことに、お金を包んでくださった。

 

「いえ、何もしていないのにいただけません。」

 

「ええか、お接待はわしからじゃない、お大師様からなんや。断るのは失礼や、黙ってもらいなさい。」

 

こんなことがあるのだろうか!

お礼を述べて辞した。

多少目が潤んでいた。

 

帰りに掃除のおばさんに出会う。

 

「ああよかった、帰ったかと思った。」

 

と、おにぎりを持って来てくださった。

 

余ったら持って行くように言われ、嬉しくて「あまりません!」と答え

一気に6つ平らげてしまった。

 

「これもってって困るもんやないから。」

 

と大きな袋にいっぱいお菓子や何か入っている。

仏様のお下がりだそうだ。

その上新たにおにぎりを握ってくださった。

 

普通の旅行だったらこんなことあるはずがない。

この僕は僕じゃない。

堀越先生やグループの先輩後輩の身代わりなのかもしれない。

 

自分の存在価値とは何だろう。

先生は『日々是好日』が自分の周りに広がり、それが波及してやがて世界中が平和になるのが理想、とおっしゃっていた。

この時それを感じたような気がした。

 

再度、納経所の方にご報告とお礼に行く。

「お遍路の終わりにもう一度いらっしゃい」という言葉を胸に、山を下りた。

今年だけでは廻りきれない。

終わるのは何年、何十年先か。

 

これが僕の四国巡拝の第一歩だ。

今は既にお大師様と同行二人である。

持ち金は3三千円あまり。

 

 

不安はない。

ここまで来てしまえば、あとはどうにでもなろう。

 

和歌山港から四国の小松島へフェリーで行く。

 

坂東駅で一泊。

 

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写真は旭川

お題「昭和」