六、四国遍路の旅(12)パンツ事件
中田という駅で寝た時のことだった。
待合室に荷物を置き、銭湯に行った。
小さな風呂で、僕と地元のおじさんと二人しかいなかった。
身体を流していると、高校生が7〜8人どやどやとパンツをはいたまま入って来た。
この風呂は二階の卓球場のシャワー室も兼ねているのだろうか。
それにしても・・・
彼らはいい湯加減なのにアツいアツいと水を入れ、終いには水の掛け合いを始めた。
いくらなんでもたまらず、「いい加減にしなさい、人の迷惑も考えろ!」と言うと黙った。
すると隣りのおじさんが「いいんだよ若いんだから何しても・・・ただ風呂にパンツをはいたまま入るのはいかん・・・」
ぼそぼそと言い続けているが高校生は知らぬ振りで遊んでいる。
やはりここは日本の公衆浴場に違いないのだ。
煮え切らぬおじさんに腹が立って来て僕は立ち上がり、桶に水を汲んで「ぬげ!パンツを脱げ!お前らそれでも日本人か!見られたからって減るもんじゃなし,お前らそんな仲なのか!早く脱げ!その場で脱げ!!!」
久々に怒鳴りつけた。
そのうち一人が「お、俺の見たらみんなショック受けるかと思ってよ、よし、脱ぐぞ!脱ぐぞ!」と言ってもぞもぞやり出した。
他の連中も脱衣場に行ったりその場で脱いだり、のそのそと動き出した。
全く、非常識な奴らだ!
日本はどうなるのだ!
でも彼らの明るさはこちらの心も和ませてくれる。
叱った後もすがすがしい気持ちだった。