中国茶的日々

2005年に上海田子坊で中国茶の店『臻茶林』を始める。北京南鑼鼓巷、浙江省烏鎮、江蘇省天目湖に支店。

聖人君子に政治なんてできません

 
だって、喜ぶ人がいる影で面白くない人もいるのが世の中です。
ある政策が全ての人にとって益になる、なんてことはあり得ない。
それを多数決で決めるのが民主制なら、少数意見だろうと為政者が将来的にそちらの方が大事だと思ったら施行できるのが君主制とも言えます。
 
日本にいる日本人はおおよそ民主主義というのが政治形態として最高と思っている。
というか今の日本人はおそらく民主主義以外選択肢は考えられない。
でも私は今の日本の政治を見ていると、本当に民主主義というのが他に比べて優れているのだろうか、という思いも正直あります。

 

 
民主制と君主制は古代ギリシャの時代から比較されていました。
ヘロドトスの書いた「歴史」という本の中でも検討されています。
利点や問題点は全く現代と同じ、つまり2000年を経ても答えが出ない問題であります。
そこでは決して民主制は優位だとはいっていません。
 
ギリシア人の彼は世界の見聞をまとめた「歴史」の中でエジプト王国に触れ、
「エジプト人はバカだ。奴らは地球が太陽の周りを回っていると本気で信じている。」
という記述が印象深かったです。
また都市国家アテナイは市民全体で討論し政策を決めていきましたが、
そのうち国が豊かになると市民は自分の私利私欲を主張するばかりで衆愚政治に陥り効果的な政治が行われなくなり、最後はマケドニアという王国に滅ぼされてしまいます。
 
私は今中国に住んでおり、肌で中国を感じています。
日本と比較して良くも悪くも政策の実行がかなりスピーディーです。
やってみてやばいと思ったらすぐ変える。
新しい法律を決めるときには事前に公開し、識者や市民の意見を求めることも時々やっています。
 
これまでの中国は皇帝の専制政治であり今は共産党一党独裁で外枠はほとんど変わってないように見えます。
変わったのは世襲制でなくなったこと、
そのためトップに立つにはあらゆる手段で味方を増やし政敵を陥れることが必要で、
そういう魑魅魍魎の世界をくぐり抜けた政治能力のある逸材だけが首席になれるので、
相当手練手管に長けたものだと言えます。
世襲制じゃないのでバカをトップにしてその下でやりたいようにやる腹黒い臣下も出にくい。
 
特に習政権になってからそれまでのようにアマアマぬるぬるを認めなくなった。
バブル後の日本の花柳界のようにいきなり官官接待が無くなり巷は一気に温度が下がりました(領収証をくれという大きな飲食費や贈答品がかなり減った)。
軍部の締め付けもきつくなり軍が軍所有物件を貸し出し大家として利益を出していたのですがそれも数年前に一斉に禁止となり、
軍人が儲かるという場面もかなり制限されました。
 
政治にかけてはアメリカの大統領よりよっぽど博学で老獪だと思います。
北をそそのかしてトランプをおちょくっているように私には見えます。
プーチンもガンガン政敵を殺してきた強者なので、今は安倍さんも軽く乗せられて大変なことになっていますが、
それと対等にやり合うだけのずる賢さは持っている。
 
おそらく、今の共産党幹部は中国が民主主義になったら収まりがつかなくなることを知っている。
民主主義になったら中国は四分五裂して、昔のような隣国同士の小競り合いとかが増え社会不安が訪れると思っている。
そうしないために現体制を維持し続ける、そのために民主主義活動を抑え込んでいるのではないでしょうか。
そこには民主主義が最高の政治システムだという発想はハナからありません。
 
ウィグルとかチベットとか、無理しないで独立させてやれよとも思いますが、
それやっちゃうと中国には50くらい少数民族がありますので、あちこちで蜂起が始まるでしょう。
それで無理して抑え込んでるんじゃないでしょうかね。想像ですが。
 
私も別に中国の代弁者じゃないので、研究しているわけでもない普通の生活者の感想に過ぎませんが、
どっちも見てるから逆に日本で生活している人よりも少し広く見えるんじゃないかと自分では思っています。
 
敵を知り、己を知れば、負けることなし。
何が勝ちで何が負けなのか、負けたように見せかけて実際は得しているとか、
勝負も時間軸を考慮に入れて判断しないとね。