中国茶的日々

2005年に上海田子坊で中国茶の店『臻茶林』を始める。北京南鑼鼓巷、浙江省烏鎮、江蘇省天目湖に支店。

六、四国遍路の旅(8)お坊さんと

翌日、午後三時くらいには後片付けも終わった。

おばちゃんたちとも今日が最後である。

昼休みにはやっと気が抜けたのか、おばちゃんたちのカラオケ大会が始まった。

お鉢が廻ってきては大変と、そそくさと退散した。

 

夜は、僕の他に若いお坊さんが二人泊まった。

一人は曹洞宗、一人は真言宗だ。

寺の息子さんも交えて、四人で話しをした。

座禅を組んでて何を悟りましたか?とのっけから鋭い質問。

平和とか難民救済とか、夜遅くまで話していた。

 

朝、安楽寺出発。

お世話になった方にお礼を言って廻る。

皆さんが「もっと居なさい」と言ってくださった。

 

いざいかん!

でも、あれはどうしよう・・・

 

奥様がいらっしゃって、これをもっていきなさいとお金を包んでくださった。

ふすまの仕事もせずに三日も泊めていただいて、悪いような気がした。

 

「いいからもってき!」

 

一瞬にして巨万の富豪になった気がした。

 

次のお寺までは安楽寺の方が車で送ってくださった。

今日はいい天気だ。

昨夜一緒にお話しした若い二人のお坊さんは歩いて出発した。

八番の法輪寺でお参りをして、あのお二人もこちらで一休みされるだろうと思い、お寺の方にお願いした。

 

「一人はヒゲ、一人はメガネの若い二人のお坊さんが来たらこれでお茶でもお出し願えませんか。」

 

「いらんいらんおかねはいらん!」

 

お接待を拒まれ、そのまま僕は次のお寺に向かった。

途中小さなお地蔵様のほこらがあったので、先ほどお渡しできなかった千円を賽銭箱に入れた。

 

道に迷いながら、休みながらも九番の切幡寺についた。

ついてからもすごい階段がある。

依然として軽くならぬ荷を背負いながら、登りきった。

 

なるほど高いだけに景色はいい。

お参りとお納経をすませると、メガネのお坊さんが登ってきた。

 

「先ほどはお接待いただきましてありがとうございました」

 

前のお寺でぶどうとジュースを僕からだといって出していただいたそうだ。

 

僕のお金を受け取らずに心を受け取ってくださった。

 

メガネのお坊さんがお参りしている間、僕は頭から水をかぶりながらそう思った。

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